クラシックスタイルとは
クラシックスタイルとは
今まではナポリ仕立てに代表される非構築的でソフトな仕立てのスーツが人気でしたが、クラシック回帰の中でしばしば鎧のようであるとも形容される構築的な英国スタイルのスーツが見直されています。
サイズも最近まではタイトで着丈が短くスポーティーで動きやすいのが特徴でしたが、クラシック回帰の中ではスーツの着丈は少し長めになって来ており、プリーツパンツの人気復活とともにエレガンスさが増しています。
キーワードは「正統派」「エレガント」「時代を取り入れた進化」
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1.クラシックなスタイル
英国調のクラシックスタイルが流行りになっており、今はモダンからクラシック回帰の傾向にあります。「そもそもクラシック回帰ってなに?」と疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。クラシック回帰とは「ヨーロッパの伝統的なスーツスタイルに戻る状態」のことを指しています。
クラシックスタイルとは伝統的なスタイルを守りながら現代風のアレンジを取り入れたもので、現代で着ても違和感はありません。
それではクラシックスタイルに代表されるアイテムにはどの様な物が有るのでしょうか?
いくつか例を示してみます。
1.1 ビルドアップショルダー
また、イングリッシュ・ドレープ(肩から胸や背にかけて表れる優美な布のたるみ)も特徴で、胸や背中の部分にゆとりを持たせてドレープを作り、胸板を強調しています。
これらの仕様で、英国スーツは男性らしさを醸し出し堂々とした大人の男性という印象を与えてくれます。
1.2 スリーピース
最近のベストのデザインはダブルブレストやラペル付きなどバリエーションも広がっています。
スリーピーススーツはボタンをせずに開けておくのか、それとも、きちんとボタンをかけて閉めておくのか迷ってしまいます。一般的にはジャケットのボタンはかけずに開いておき、ベストは1番下のボタン以外はすべてかけておくのがマナーと言われています。
ベストのボタンをすべてかけてしまうと、胴回りが窮屈そうに見えてしまうので1番下のボタンだけはかけずに着す。6釦5つ掛けの様に、仕様によっては一番下のバタンは飾りボタンになっていることもあります。
1.3 ダブル
以前は年配の方が着るイメージで4釦1つ掛けのゆったりしたシルエットが多かったと思います。
今のダブルスーツは適度に身体にフィットしたシルエットで、ボタンも6釦2つ掛けが主流でウエスト位置も高くスマートなシルエットになっています。
Vゾーンが狭くなるので、白の無地シャツ等スッキリと無地のシャツにして、レジメンタルタイを合わせてクラシック感を演出するのも良いと思います。
1.4 チェンジポケット
もともとは、お釣りを入れる小銭入れとして採用されていたと言われていチェンジポケットですが、ウエストにさりげないアクセントを加味してくれるのも嬉しいポイントです。
特に英国スーツは着丈が長く縦長のシルエットになるので、中間あたりにチェンジポケットが有るとアクセントとしてちょうど良かったとも言われています。
1.5 パンツのプリーツ
かつてのプリーツパンツほどルーズではなくシャープなバランスになっていて、プリーツでゆとりを持たせた腰周りはスーツスタイルにクラシック感を醸し出します。
プリーツの開きが内側を向くインプリーツと、外側を向くアウトプリーツが有ります。インプリーツの方がクラシック感が有りますが、主流はアウトプリーツとなっています。
また、プリーツを綺麗に見せるなら、サスペンダーはいかがでしょう。
クラシック感も有り、ベルトと違い上から吊ることにより綺麗にプリーツが表現されます。その際、パンツはベルトループ無しのサイドアジャスターにし、サスペンダーもクリップでなくボタンでパンツを吊るタイプだとよりエレガントです。
2.クラシックな生地
次にクラシックに合う服地について考えてみたいと思います。
クラシック回帰の中では英国製の服地が人気です。英国製服地は一般的にしっかりと織られており、耐久性があります。また、シワになりにくく、復元力に優れていて、かっちりした英国スタイルとマッチします。
ただ、昨今のスーツではSuper100’s以上の細番手を使用した軽く艶やかなイタリア製服地が人気で、昔ながらの英国服地は少なくなっている為、クラシックな生地を代表するようなブランドは少なくなりました。
こういったこういったクラシック素材を求められる際は、時折出てくるビンテージ素材などで掘り出し物を探すと良いでしょう。
2.1 ストライプ
ストライプ幅も10mm以上のバンカーストライプはいかがでしょう。
バンカーストライプとは、主には濃紺にチョークストライプの様なはっきりとした白のストライプを配した生地のことで、ロンドンの金融街で働く銀行マンが好むスーツとして知られています。
その明瞭なコントラストが誠実さと強さの演出に最適で クラシック回帰の中、英国調の生地として改めて脚光を浴びています。
2.2 チェック
クラシック感が有るだけでなく、ジャケット単体でも着回しができるのでコーディネートの幅を広げてくれます。
ちなみにグレンとは渓谷とか谷間の意味で、スコットランド地方の谷間の地域で織られたのが名称の由来で、スコットランドのグレナカート・チェックの略称といわれます。千鳥格子とヘアラインチェックなど細かい格子を組み合わせた生地でできた柄になります。
3.映画でのスーツ
最後にクラシックなスーツを着こなす好事例を映画でご紹介します。
最近はこれでもずい分見た目が軽くなりました。
3.1 キングスマン
キングスマンの劇中で使われている衣装のブランドの一つにDORMEUIL(ドーメル)というブランドがあります。ミルでなくマーチャントなので色々な生地を扱っているのですが、上品でしっかりした生地を扱っています。
キングスマンでブリティッシュスーツを颯爽と着こなしていたコリン・ファースですが、彼のスーツ姿は、トム・フォードの初監督作品『シングルマン』でも素晴らしく一見の価値あり。最新作で007のスーツを担当しているトム・フォードが監督をしているのも興味が有ります。
3.2 007
初代ボンド、ショーン・コネリーが身につけていたスーツ。これは英国の『Anthony Sinclair(アンソニー・シンクレア)』というテーラーのものです。ナチュラルショルダーなので、英国=コーンケーブとは違った印象になります。
5代目ピアース・ブロスナンからイタリアのブリオーニに変わり、最新作ではダニエル・クレイグはアメリカのトム・フォードになっています。
トム・フォードのスーツは構築的な肩のラインをしたコンケープドショルダーで、ショーン・コネリーの時とは時代やブランドが変わっているせいかシルエットも随分変わっています。