イタリアの老舗ブランド「キャノニコ」
イタリアの老舗ブランド「キャノニコ」
前回、伊ロロ・ピアーナ社の生地をご紹介したところ、読者の皆さんから“とても参考になった!”とのお声をいただきました。
そこで、今月は同じイタリア製でもロロ・ピアーナと非常によく似たテイストの伊キャノニコ社について両社を比較しながらご紹介したいと思います。
伊キャノニコ社(正式にはヴィターレ・バルベリス・カノニコ社)はイタリアミラノ北西のビエラ地方に工場を構える生地の織元(ミル)ですが、同社の特徴は、「歴史」「規模」「コストパフォーマンス」に尽きるでしょう。
キャノニコ社の特徴
歴史
キャノニコ社は織ネームにも書かれていいるように創業1663年。
イタリア、いや、世界中でも最古と言っても過言でないだけの歴史を有する織元(ミル)です。
同じ老舗のロロ・ピアーナ社の創業が1924年創業であることと比較すると、ロロ社より250年以上も前から生地を織っていたと考えると驚嘆に値します。
規模
キャノニコ社の生産数量は年間900万m以上、これはスーツ換算で300万着を超える圧倒的な規模です。
一般に企業は大企業になればなる程、画一化・均質化され、企業独自の世界観は失われていくものですが、キャノニコ社は世界有数の織元となった今でも、その独特の質感(柔らかい触感、色使い、艶感)は、同族経営の中で守られ変わることがありません。
(一方、ロロ・ピアーナ社もかつてはロロ・ピアーナ一族による同族経営でしたが、近年LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループ傘下になったことで、その世界観がこれからも維持されるか、気になるところです。)
コストパフォーマンス
キャノニコ社とロロ・ピアーナ社の大きな違いはコストパフォーマンスかも知れません。
伊ロロ・ピアーナ社はベースの原毛のクオリティーをこれまでのSuper130’Sから
現在ではSuper150’Sに品質を向上させました。(これに伴い売価も・・・)
一方で、キャノニコ社のベースクオリティーはSuper110’S~120’Sです。
一般に、既製服のスーツで使用する生地の糸番手をSuper表示にするとSuper70’S~80’Sと言われ、オーダースーツは概ねSuper100’S以上の素材が多いですが、このSuper***’sという原毛の太さを示す指標は、その希少性からSuper130’Sぐらいから二次曲線的に価格が上昇します。
キャノニコ社はその中で、Super110’S~120’Sの素材感でコストをある程度抑えつつ、ハイクオリティーを維持している点が素晴らしいところです。
※Super130’S以上の細番手原毛の生地は、繊細でデリケートなため耐久性の面では不安もありますからそういった点でもバランスの良い品質です。
いかがでしたでしょうか?
キャノニコ社もロロ・ピアーナ社も同じイタリアのビエラ地方の同じ織元(ミル)です。
日本で言えば、ちょうど愛知県から岐阜県にまたがる尾州地方と同じで、水が豊かで綺麗なところです。
同じ原毛(こちらはオーストラリア他から)を使い、同じ水で染色しているため、両社の製品はどうしても近しい雰囲気・テイストになりますが、キャノニコは純粋な織元(ミル)を目指し、もう一方のロロ・ピアーナは織元からファッションの製品ブランドを目指しルイヴィトンのグループ入り。
両社のスーツを着ながら、この微妙な違いを感じるのもオーダースーツの楽しみではないでしょうか?
それでは今年のキャノニコの新柄を含めた生地画像を交えご紹介します。
Super 110’S
Super 110’sはキャノニコでも定番で、スリーシーズン対応のスーツとして人気のシリーズです。
細すぎない原毛を使用しているので耐久性やシワの回復力があり、イタリアらしい上品な艶感・柔らかさが備わっております。それに加えて、発色の良さはキャノニコならでは。
お値段以上の仕上りになること間違いなしの生地です。
シングルスーツ上下 68,000円(税込74,800円)
Super 120’S
キャノニコの春夏専用生地TROPICALSuper 120’sは極細のウールを平織にしているため、通気性がよく、日本の夏でも過ごしやすい素材です。
着心地は涼しく軽やかでも、ダーク系の色味でスーツらしさは損なわずに着こなせる、夏にお勧めのシリーズです。
シングルスーツ上下 68,000円(税込74,800円)
この春夏はキャノニコの生地でお仕立てしてみてはいかがでしょうか?
店舗には生地見本のご用意がございます。
各店のお近くにお越しの際はお気軽にお立ち寄り頂き、ぜひ生地の質感や色柄をご覧ください。
※価格はお仕立て上りの価格で表示しております。
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