パターンモデルが変わりました
パターンモデルが変わりました
今年はビッグヴィジョンを含め、オーダースーツ業界では激動の1年でした。
何が激動か?というと、1つはオーダースーツブームが到来したことであり、
もう1つは、ZOZOに代表されるようにライバル会社がどんどん出現したことでした。
そんな中、ビッグヴィジョンでは将来を見据えて大きな変更をいたしました。
それは・・・基本となるパターンの変更です。
基本パターンの変更と言っても車でいえばフルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジですが、ここではその背景や内容をご紹介したいと思います。
<< 目次 >>
1.モデル変更の背景
1-1.トレンド変化に対する対応
ファッション業界(既製服業界)では、トレンド変化によってモデルデザインの変更がごく当たり前のように行われています。
これは、流行の移り変わりの激しいレディースではほぼ毎年変わりますが、メンズの世界では、若者ブランドなどを除くと比較的、流行の変化はゆったりとしていて大体3~5年は1つのトレンドが続きます。
このトレンド変化は、メンズでは3つ釦から2つ釦ボタンに変化したりとか、上着の着丈が短くなったりとかのため、既製服業界はその都度変わるものでも、オーダースーツの業界では“それがオーダーで指定できる内容である”ため、敢えて基本のパターンを変える必要がありませんでした。
(このため、トレンドデザインを追加モデルのような形で新パターンを追加投入しています。)
1-2.オーダースーツ利用者の変化
そんなトレンド変化にはオーダー故の対応力で大きく変化しなかったオーダースーツ業界ですが、昨今大きな変化が生まれました。
それは、、、オーダースーツ利用者の変化
これは大きく2つあります。
1つは、ZOZOや量販店さんのオーダースーツ業界参入により、新しいユーザー特に若い方のオーダーが増えてきたことです。
一昔前は、オーダースーツは“高い”“おじさん”のイメージがありましたが、これが若者がかっこよく着るツールになったことです。
そしてもう1つは、従来からのお客様だったミドル世代以降の方が“チョイ悪親父”という言葉に代表されるように大変お洒落になってきたことです。
このため、オーダースーツをお洒落に(自分を格好良く見せる)ツールとして求める方が増えてきたのです。
2.ビッグヴィジョンが考えた事
2つの世代の変化(若者のオーダースーツ人気と中高年のファッション感度UP)は、当社を大きく変えました。
それは、どちらの世代に対してもスタイリッシュにする必要があるということです。
当社にはV1~V6までのパターンがあります。(今回の変更は、V1~V4になります。)
それぞれのパターンの特徴は次の通りです。(画像のクリックで、各パターンの説明に移動します。)
これまではどちらかというと中高年の方にはオーセンティックモデルであるV1を中心にオススメし、若い方にはV5、V6などをオススメしていました。
(V2・V3は40代が好む中間的なクラシコイタリア的モデルです。)
それではどこをどう変更したのでしょうか?
お客様の体型は千差万別ですのでケーススタディーで考えてみます。
2-1.ケーススタディ① ミドル世代
40代以降をミドル世代とすると、この世代の特徴は、残念ながら若い頃と比べて体型が崩れることです。
一般的に考えれば中年太りになりお腹周りが窮屈になることが一番目立つ特徴ですが、オーダースーツ業界ではこれはサイズ指示をする部分ですのでどのようなパターンでも身体に合わせることは簡単に出来ます。
私達が注目したのは、『袖幅』でした。
どうして袖幅か?というと、スーツの袖幅は実は胸周りのサイズでその太さが決まってきます。
読者の皆さんは、オーダースーツの採寸をする時、腕周りを計測しないことをご存知でしょうか?(他店も含め普通は採寸しません)
それは、胸周りから袖幅を推計するから、つまりバストが太ければ、腕も太いだろうという推測の元に、パターンを作成しています。
実は、これが大きな問題でした。
つまり、中年太りになるようなミドル世代は当然ながら胸周りのサイズも太くなっています。
一方、“腕は?”というと若い頃のように運動をそこまでやっていない人の腕は意外と細くなっていて、バストと腕周りの差が若者と大きく違うのです。
読者の皆さんも中年以降の方は、試しにご自身のスーツの袖にクリップを留め手を前に出すような運動をしてみて下さい。
キツければ、クリップが飛びますが、多分1cmぐらい摘んでもクリップが飛ぶことはないでしょう。
これが見た目を悪くする“無駄なゆとり”なのです。
ミドル世代も、不必要なゆとりを加え、わざわざ格好悪く見せたい人が居る訳がありません。できれば格好良く見せたいのは誰でもそうでしょう。
特に、袖幅を細くすることは視覚的に細く見せるためには“大変有効な手だて”です。
・・・というのは、画像をご覧頂くとより分かると思いますが、スーツの見た目が太い細いというのは、絶対的な細さがあればそれを見せれば良いことですが、相対的に細く見せるのは、意外と“腕と胴の隙間がどれだけあるか?”によって人の印象が大きく変わります。
つまり、お腹周りは細くするには限界があるけれど、袖の幅を細くすることで腕と胴の隙間を広げ、細く見せることが可能になるのです
従来でも気の利くスタッフでしたらこういったことを補正図に描くことでオーダー内容に反映させることは出来ましたが、今回はこれを標準化しました。
2-2.ケーススタディ② 若手世代
若手世代にも同様のことが言えますが、若手には別の側面からアプローチしました。
それは、袖幅を細くすること=アームホールを小さくすることです。
アームホールを小さくするというと、一部の方は『窮屈になる』と拒否反応を起こす方がいらっしゃいます。
一方で、若手世代の方は、このアームホールが大きいことが“ダサいスーツの元凶”と思われている方も多いです。
では、アームホールが小さいのは窮屈なのでしょうか?
答えは、否です。(一部、限界を超えればもちろん窮屈になります。)
これはどういうことかというと、電車で“上着を着ながら吊革を持つ仕草”をイメージして下さい。
吊革を持つと、否が応でも上着の胴体部分が上にせり上がってきます。
これは脇の下で袖と胴体が繋がっているからに他なりませんが、図のようにアームホールが小さくなれば、袖が胴体に対して独立するため、袖の上げ下げが楽になるのです。
つまり、アームホールを小さくすることで取り回しが良くなり、“窮屈と正反対”のことが起きるのです。
しかも見た目がすっきりスタイリッシュになる。
加えて、スーツの裏仕立てが丸台場仕様の場合、お台場部分の丸さがやや古典的な印象が強かったため丸さを強めすっきりした見た目に変更しています。
3.最後に
以上のような事情で、ビッグヴィジョンではこの春から全ての世代の方に受け入れられるようパターンの修正をいたしました。
お客様のご体型はひとそれぞれですから、パターンの変更によって不利益になる方(例えば、中高年でマッチョで腕が太い方や若い方でもやや太っている方など)もいらっしゃいますが、こういった方へは個別のオーダー内容の修正で不具合が出ないように心がけています。
(例えば、新パターンで袖幅が窮屈になる方へは、袖幅を太くする補正を加えてお仕立てすることで窮屈さを解消させています。)
またリピーターの皆さんへはパターンに若干変更があることはご注文の際にご案内しております。
オーダースーツではこれまで“オーダーだから何でもできる!”とか“オーダーで一番大切なのは身体に合わせること=スタイルは二の次”という考えが業界的に多かったのは事実ですが、ビッグヴィジョンではこれからのオーダーは、“もっとスタイリッシュに!”と考えています。
パターンを時代の変遷で臨機応変に変更できるのは“自社工場がある強み”ですので、ビッグヴィジョンではこれからも新しいことを積極的に取り入れようと考えています。
代表取締役 吉村雅隆
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