横浜店の佐藤(マリサポ)です⚽️

 

 


皆さん、
今日着用のジャケット(スーツ)の左ラペル(下襟)をご覧ください。ボタン穴、もしくはボタン穴のような縫い目があると思います。

 

このボタン穴、または縫い目のことをフラワーホールと言いますが、バッジホールやラペルホール、ブートニエールと言う場合もあります。

 

無い場合もありますが、本来スーツやジャケットのラペルにはフラワーホールがついているものが多くあります。

 

 

シングルジャケットの場合
シングルジャケットには、左ラペルにフラワーホールがあります。通常右側にボタンがあることから、対となるボタン穴が左側にある、といったイメージです。ただしシングルブレストでも、ピークドラペルの場合は左右両方にフラワーホールが付いている場合もあります。

 

 

ダブルジャケットの場合
昔は、ダブルジャケットには、左右両方のラペルにフラワーホールがありました。これは、左右の襟を拝み合わせでボタンを留める名残で、カフリンクスのイメージです。ただ、現在はダブルブレストでも左ラペルだけにフラワーホールがついたジャケットが増えてきました。

 

 

 

フラワーホールの由来:1
花を挿す穴として
フラワーホール(flower hole)=「花の穴」です。結婚式で新郎が着るスーツやタキシードの襟部分に、花を飾っている姿を見たことがあるかと思います。あの花はこのフラワーホールに挿しています。
当時のイギリス皇太子エドワード8世(1894年-1972年)がフラワーホールに花を挿したことが始まりという説もありますが、実際は19世紀から貴族の間でフラワーホールに花を挿してパーティーに出席する嗜みが流行っていたようです。
また、このころからラペル裏に花の茎を通す「フラワーループ(flower loop)」という糸が付けられるようになりました。今でもスーツをカスタムオーダーするとフラワーループを付けてくれる仕立て屋さんもあります。
因みに、花は招待をするホスト側が、出席者に感謝の気持ちを表すために飾るものなので、出席者は花を挿しません。

 

 

 

フラワーホールの由来:2
風よけの第1ボタンの名残
花を挿すためだけにわざわざジャケットにフラワーホールを付けたかというとそうではなく、もともとフラワーホールは、ジャケットの第1ボタンの名残としてあったものです。
スーツの起源はフロックコートであり、遡ると軍服や騎士のゴルジェになります。当時は戦争になると、軍人は軍服を着て馬に乗っていましたが、襟は首元を守るだけでなく防寒対策としても襟高な様相でした。
つまり、現在のコートのように襟を立ててボタンで留めていたものが、テーラードカラーを用いたジャケットの形になり、その際にボタンホールだけが残ったものなのです。

 

 

 


現在のフラワーホールの使い道としては
社章を付けたり
Vゾーン周辺を飾るためにラペルピン、ブートニエール、生花or造花を挿したり
フラワーホール自体が飾り
といったところです。

 

 

 

また、フラワーホールの穴が一部だけのものは、バッジホールとしての役割を重視しています。(当社のオーダー品はそれに当たります。)因みに当社は左寄りが開いています。全開だとバッジが外れやすくなる恐れもありますので。

 

 


フラワーホールに対して、「この穴何のためについてるの?使わないんだったらいらないのでは?」と思っていた方がいらしたら、フラワーホールの見方が少しだけ変わったのではないでしょうか?