皆さんこんにちは。
6月に入り、初夏らしい日が続いていましたが、一転今日は梅雨のような天気です。
今週は概ね雨が多いようです。
さて、今月はスーツなどでよく質問を頂く仕様やデザインをご紹介していきます。
その第1回は、こちらです。
見たことあります?
これは、チケットポケットと言ってその名の通りチケットをしまっておく場所だったようです。
チケットとはその昔はオペラなどのチケットでした。TPOにあわせた装いが当たり前だった欧米では、スーツはオペラ観劇に適した服だったのでしょう。
その後時代が下がってくると、オペラのチケットではなく切符を入れたりしていましたが、現代においては電車に乗るのに一々切符など購入しないので、「何を入れるんだろう?」と思ったりするんですね。
実際、チケット(半券)や切符くらいしか入りませんし(名刺がギリギリ)それらが無いとなると何に使うのか分からないというのは自然ですね。
しかし、今でも仕立ての良し悪しを判断するために、チケットポケットを確認するという方はいらっしゃいます。
このポケットの縁の部分には、細長く縁取りが見られますが、これをもみ玉と言います。手でもみ出して作ったという意味です。つまり、手作業なんです。
更に口の上下を見て頂くと、三角形のような刺繍が見て取れます。こちらは「松葉閂(まつばかんぬき)」と言い、ポケットの口部分の強化と装飾を兼ねた仕様です。
手作業・丈夫さを追求した仕様が、いわゆる「仕立てが良い」と言われる所以なんです。
そして、本台場とセットで仕立ての良さが謳われることになります。
本台場も摩耗したポケットの作り替えが容易になる様にあるもの。という説も聞きますが、本来芯地と連動して型崩れを防ぐためのものです。
この様にテーラードのスーツというのは、実は手間暇かけて作るものだったんですね。
しかし、オペラチケットから切符へと変わるのも時代の流れでしょうが、オペラ観劇用の服から通勤着になった変遷も見えるようで少し残念です。
では、今日はこの辺で失礼いたします。
Bigvision東銀座店 古谷
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