綿100%の生地だからできるオプション「カスタム仕立て」
カスタム仕立ては、縫製の細部にもひと手間をかけ、着心地と見た目の良さがグッと上がる、オーダーシャツならではの上級の仕立てです。
- >>>襟の芯地(フラシ芯)
- >>>縫製の運針
- >>>前振りの利いた後付けの袖
- >>>スプリットヨーク
- >>>3mm厚高瀬貝ボタン
- >>>ボタン千鳥掛け&根巻きボタン付け
- >>>裾ボタンホール横穴
- >>>ガゼット
カスタム仕立てについて
イタリアなどの外国の街で見かけるシャツ姿の男性は、ネクタイがなくてもどうしてあぁもカッコイイのでしょうか。「体型?センス?」色々と上げられますが、我々ファッション業界の人間としてはその要因の1つに、
襟が綺麗に立っているから ・・・という要素を加えたいと思います。
昨今はクールビズの定着もあり、ホワイトカラーの人達もネクタイを外す機会が増えてきました。
そんな時、ただネクタイを外しただけの姿では、折角のシャツが勿体ないです。
そこで私達は上質なシャツの原点に帰り、“襟が美しく立つ”ことを重視した縫製を行っています。
素材やデザイン、糊の強弱にも因りますから、誰が仕立てても必ず綺麗に立つ!とは断言できませんが、当店の仕立てたシャツの衿の立ち具合、是非検証してください。
シャツのカスタム仕立ては、通常のお値段に+2,000円(税込2,200円)となりますが、次のような仕様に変わりますので、お値段以上の価値が有ります。
襟の芯地(フラシ芯)
シャツのお仕立では、通常は縫製工程を楽にしてコストを下げる為に、接着芯という糊が付いた芯地を首周りに貼ります。しかし、これは素材を堅く感じさせますし、何より直接肌に触れる襟足の表側に堅い芯を張ると首周りにゴワ付き感が出て、着心地が悪化します。
そこでカスタム仕立てでは、フラシ芯という「生地と密着しない芯地」を使うことで、首周りの快適性を追求しました。
※:厳密に言いますと仮接着芯と言い、当初は接着芯ですが数度の洗濯で糊が溶け、その後はフラシ芯同様になる芯地を使用しています。
またこの仮接着芯は、いずれは糊が溶けて生地から離れてしまう芯地ですが、ビッグヴィジョンでは接着面を衿足の裏面(ネクタイが当たる側、肌に触れない側)に糊で仮接着芯を貼ることで、着用当初から芯地が首周りにできるだけ触れないように配慮しています。一手間多く掛かりますが、これによりネクタイが通る側がしっかりすることでネクタイ通しを良くし、一方で肌に直接触れる面は芯地が張っていないため、肌触りが柔らかくなります。このやり方はイタリア的な物作りでよくやる手法ですが、一般的な製品は写真撮りの見た目を気にするため、堅い接着芯を肌に触れる側に芯地を貼って仕上げる所がほとんどです。
画像は仕上がったばかりのシャツ。丸印のところが、少しプカっと生地が浮いているのがお分かり頂けますか?
これが衿足の首に当たる面に、糊で芯地が付いていない証拠です。
縫製の運針
前振りの利いた後付けの袖
一方で、普段の皆さんの腕(身体)はどうでしょうか。自然な状態では、手は身体に対して少し前に位置していると思います。
私達が気にするのはこの点です。
人間の手は少し前方に向いている訳ですから、シャツの袖も少し前に向けて袖を付けるべきではないかと。
このことはスーツでは当たり前のように行っていることですが、シャツではこれまであまり意識されてきませんでした。(この辺が安いシャツと高いシャツの仕立ての違いなのです。)
そして、これを解消するためには、袖の中心点を身体に対して前に持っていく必要があります。
専門的にはこれを“袖付けを前振りにする”と言いますが、当店の仕立てでは脇下部分の縫い合わせが、画像のように2cm程度袖が前に付きます。これによって身体に合った自然な腕振りが可能になり、格段に着やすくなります。作業効率は著しく悪化しますが、私達は着心地優先でこういった点にも注目してお仕立しております。
一度お試しになって腕をグッと前に出してみてください。これまでのシャツにはなかった 腕の開放感が得られると思います。
この後に説明する「スプリットヨーク」と相まって、肩が楽なシャツですので仕事の効率がアップする事間違いなしです。
ディスクワークの時、仕事中に「気を付け」をした状態の方はいないかと思います。大抵は肘を曲げて腕が前に出た状態だと思います。
一度お試しになって腕をグッと前に出してみてください。これまでのシャツにはなかった 腕の開放感が得られると思います。
この後に説明する「スプリットヨーク」と相まって、肩が楽なシャツですので仕事の効率がアップする事間違いなしです。
スプリットヨーク
廉価なシャツ、生産効率重視のシャツではこの部分を1枚で仕立てますが、これですと生地の縦糸横糸の地の目と肩(背中)の丸みに合わず、フィット感や耐久性が劣ってしまいます。
ストライプ柄などのシャツが一番分かりやすいですが、背中を見て背中心で切り返しがあり、柄が真横ではなく腕の方向にやや斜めに入っているのがスピリットヨークの特徴です。
スプリットヨークにすると生地の縦糸横糸の地の目が、肩(背中)の丸みに沿って腕を前に出す方向に向いているので、フィット感や耐久性が良くなります。また、ストライプ柄はバックスタイルをよりエレガントに表現してくれます。
3mm厚高瀬貝ボタン
私達が貝ボタンを使うには訳があります。
皆さんお使いのシャツのボタンは貝ボタンでしょうか、それともプラスティックですか。化学品と比べて貝のような天然物は、数量・品質が限定されるだけにそれだけで高価な物と考えられますが、貝ボタンは単に希少性だけから高級(高価)という訳ではありません。
私達が貝ボタンを使うには訳があります。
当然、最後にはアイロンでシワを伸ばし、次の着用を待つことになりますが、その際どんなに丁寧にプレスをしてもボタンはアイロンの熱に晒されます。クリーニング屋で仕上がってくるシャツは、ボタンが生地に沈み込むような形でプレスされる事がありますが、これはボタンごと高圧プレスを掛けている事に他なりません。そのような時、元々が石油系のプラスティックは温度によっては溶けたり、焦げたり、変質します。
一方で貝ボタンでは表面のたん白が剥離することはあっても、プラスティックより熱に強く変質しにくい特徴があります。加えて、貝ボタンならではの微妙な表面感。天然物ですから1つ1つ表情が微妙に違いますし、ボタンにする過程で研磨するため微妙なざらつき感が滑りにくくさせ、ボタンを留めやすくします。
カスタム仕立てでは、高級感を出すため、また上質なボタン付けをしていることもあり、高瀬貝ボタンの中から厚みのある3mmの物を標準仕様で使用しております。
ボタン千鳥掛け&根巻きボタン付け
一般にシャツのボタン付けは「✕か「=」の字に留めることが多いですが、これを鳥の足のような千鳥掛けでお付けいたします。もちろん、これはミシンでは出来ないことでその作業は全て手作業で行います。
「何が良いか?どこが良いか?」
それは、千鳥掛けにすることで、ボタンを留める中心点が僅かにずれ、ボタンに微妙な傾斜が付くことです。
これにより、微妙な傾斜がボタンを付けやすくする、という利点が生まれます。
また、「根巻きボタン付け」という、ボタンの裏側に軸を付けています。それにより、釦と生地の間に空間ができボタンが留め易く、取れにくくなるという利点も生まれます。
どちらも生産効率を上げるという発想からではなく、お客様がお召しになる時いかに快適にご着用頂けるか?
ということを考えた末に行き着いたのが「ボタン千鳥掛け&根巻きボタン付け」当社ならではのやり方です。
裾ボタンホール横穴
縦穴カガリだと、横の引っ張りに弱いので、特に引っ張られる この釦だけ横穴カガリにしました。
身頃の一番下のボタンホールだけ、横穴カガリになっています。
縦穴カガリだと、横の引っ張りに弱いので、特に引っ張られる この釦だけ横穴カガリにしました。
ガゼット
その昔、縫製技術が未熟な頃、シャツは裾の縫い目から裂けることが多く、これを防ぐための補強です。
昨今の縫製技術では裂けるような事は滅多にありませんが、こういった所まで気を遣ってお仕立しております。
(写真は分かり易い様に裏側になっています。)
ガゼットとはシャツの裾で、前身頃と後身頃を縫い合わせる部分に付ける五角形の補強布を言います。
その昔、縫製技術が未熟な頃、シャツは裾の縫い目から裂けることが多く、これを防ぐための補強です。
昨今の縫製技術では裂けるような事は滅多にありませんが、こういった所まで気を遣ってお仕立しております。
(写真は分かり易い様に裏側になっています。)
このシャツのカスタム仕立ては綿100%素材のシャツに、+2,000円(税込2,200円)でお仕立ていたします。